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進化する伝統産業!

柏木工の飛騨家具(ショールーム編)

柏木工の飛騨家具(ショールーム編)

飛騨の伝統産業と言えば家具作り。その技術は日本一と言われ、職人達の間では家具の聖地とも呼ばれます。そんな飛騨高山で老舗の家具屋さん「柏木工」のショールームが2015年にオープンしました。
今日は高山の伝統産業、飛騨家具の真髄に迫るべく柏木工さんのショールームと工場を見学させてもらいます!今回の見学は同様の内容で一般の方でも参加できるのでツウな高山観光をしてみたい方や工場見学好きな方は要チェックです!
>公式サイトはコチラ!

高山市街から国道158号を10分ほど走ると現れる大きな椅子。巨人の椅子かというインパクトのこのオブジェは高山の老舗家具屋さん「柏木工」のショールームの目印。早速中に入ると、広いスペースに色も形も様々な家具が、空間に馴染むようにコーディネートされて配置されています。
「住宅メーカーと組んで、新築やリフォームの際にうちの家具でトータルコーディネートさせていただくこともあるんですよ」
解説してくれたのは今回の見学をガイドしてくれる関さん。
「今でこそ当たり前のことですが、昔の畳で生活していた人は椅子やテーブルを使いません。実は日本で最初にそういった家具を製造するようになったのはこの飛騨高山なんです。」

単品の椅子やテーブルからキッチンカウンターにパソコンデスクまで。 「こんなのが家にあったらステキだろうな~」という夢の広がる空間。

単品の椅子やテーブルからキッチンカウンターにパソコンデスクまで。
「こんなのが家にあったらステキだろうな~」という夢の広がる空間。

「高山は小京都と呼ばれるように寺社仏閣が多く、昔から優れた宮大工がたくさんいました。そこに目を付けたのがアメリカ。飛騨の木を加工する技術を使って洋家具の生産拠点を高山に作り、本国へ出荷しようとしたのです。」
今でいうメーカーの海外工場ということですね!
最盛期で名古屋港からアメリカへ月2万脚もの椅子を出荷していた柏木工。やがてそれは輸出用ではなく、日本の生活スタイルの変化に合わせた国内用の椅子やテーブルの製造に変わっていったのでした。

まさに飛騨家具のチェアに座りながら入り口の側のスペースで関さんのお話を伺います。 飲み物やスイーツも注文出来るちょっとしたカフェスペースになっています。

まさに飛騨家具のチェアに座りながら入り口の側のスペースで関さんのお話を伺います。
飲み物やスイーツも注文出来るちょっとしたカフェスペースになっています。

「飛騨家具の特徴は丈夫なこと。10年保証が出来ないと“飛騨の家具”ブランドは名乗れない制度になっています。その強度を保つのに重要なのが“曲げ木”です。このギャラリーの奥に飛騨家具の技術を解説しているエリアがあるのでご案内します。」
関さんの案内でショールームの奥に行く取材班。
そこにあったのはUの字型の金型や大きな輪切りの木、格子組みになっている板。

左上:釘を一切使わず、凹凸を組み合わせて接着するだけで二度と外れない千鳥格子 右上:曲げ木の型。蒸した木の板を木型でプレスして金型にはめ込むことで平らな板がUの字にまで曲がる 下:家具作りに使う材料の木は長い年月を経て購入者のおうちに。その間、人間の時間ではアメリカ独立宣言から世界恐慌までいくつもの時代が移り変わっている。

左上:釘を一切使わず、凹凸を組み合わせて接着するだけで二度と外れない千鳥格子
右上:曲げ木の型。蒸した木の板を木型でプレスして金型にはめ込むことで平らな板がUの字にまで曲がる
下:家具作りに使う材料の木は長い年月を経て購入者のおうちに。その間、人間の時間ではアメリカ独立宣言から世界恐慌までいくつもの時代が移り変わっている。

「これが曲げ木の型と、椅子のパーツのレプリカです。曲げ木は木の塊からパーツを切り出すものに比べ1枚の板を曲げるだけなので無駄なく少ない材料で済みます。また継ぎ目なく一つの木目が端から端まで通っているのでとても丈夫なんです。」
曲げ木とそうでないものとのレプリカを見比べると一目瞭然!大きな木から必要部分を切り出す方法では、無駄になる部分が多いことに加え、1つの木からは大きな塊を切り出すのが難しいことも多く、何枚かの木の板を張り合わせて材料を作ることもあるそう。そうすると継ぎ目ができて余計に強度が下がってしまいます。
まるで馬の蹄鉄のような金型を指先し。
「1枚の板をここまで曲げるのには大変な技術がいります。材料の木の選び方、蒸し加減、割れないようなプレスのかけかた。飛騨家具の高い技術の真髄がここに詰まっています。」
まっすぐな板をここまで曲げられるのは驚異のテクニックです!

左下:「曲げ木」でパーツを作る場合。材料は板1枚で済み、木目が綺麗に通って丈夫に作れます。 右下:「切り抜き」でパーツを作る場合。木の塊から必要部分を削り出すので無駄になる部分が多く、木目に沿っていないので強度が下がります。

左下:「曲げ木」でパーツを作る場合。材料は板1枚で済み、木目が綺麗に通って丈夫に作れます。
右下:「切り抜き」でパーツを作る場合。木の塊から必要部分を削り出すので無駄になる部分が多く、木目に沿っていないので強度が下がります。

「丈夫で木目のしっかり通ったパーツを作るために、元の木も大きなものを使います。そこのサンプルの木材は樹齢260年。うちのスタッフが熱心に木目を数えて、この木が生まれてからどれほど多くのできごとが人間の世界で起こったのか書いてくれています。歴史を越えて今こうしてうちの工場にやってきて、これからみなさんのおうちのリビングや台所に行こうとしているんですよ。」
長い長い歳月を経てこうして私達の生活空間にやってくるブナやナラの木。そこには木の家具にしかない温かみがあります。
「次は実際に家具を作っている工場をご案内しましょう!」
取材はいよいよ工場見学編に突入です。

飛騨家具の真髄を最後まで!いよいよ工場見学スタート

2020/06/26 更新 取材協力:柏木工

柏木工 高山ショールーム

柏木工 高山ショールーム

アクセス 住所:岐阜県高山市上岡本町1丁目260番地
TEL:0577-32-7288
営業案内 9:30~17:30
無休(年末年始を除く)
家具工場
見学ツアー
・平日2回 10:30~/13:30~(約40分)
・定員20名
※人数が多い場合は事前にご予約ください。

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