たばる話

地元民がとっておきにしている“たばる”な情報を突撃取材!

取材レポート!

  • グルメ
  • ご当地食材

いちご狩りも大人気!

農学博士 宇田川先生が手を掛け飛騨で育てる「きりんファームのいちご」

可憐な白い花と、緑の葉影からのぞく真っ赤にキラキラと輝くいちご。
真っ白な雪景色の中にハウスが立ち並ぶ様は、雪深い飛騨ならではの風景。現在では冬が旬のいちごですが、ここでは春の訪れを感じさせる3月頃に最盛期を迎えます。

高山市街地に隣接し、かつて西日本で4番目に大きな村だった清見町。面積の殆どが森林という、緑とせせらぎに囲まれた自然豊かな町です。清見町は飛騨牛発祥の地であるのが自慢ですが、トマトやほうれんそうなどの高冷地野菜や冬場のしいたけなど農産物も名高いお土地柄。道の駅や野菜直売所をのぞいてみると、珍しい伝統野菜や山菜やきのこ、形や大きさはいろいろだけど、色ツヤも味も濃い果物や野菜、そんな地元ならではの新鮮な食材や特産品が並んでいます。

都会に住んでいる人たちには、こういう野菜や果物って、近所のスーパーとかではなかなか手に入らないものですよね。生産者が少なく限られた数しか出回らない、規格や基準にあてはまらない、柔らかくデリケートで輸送に向かない。流通の都合でつけられたルールに縛られることなく、美味しいものを作り、地元だけで楽しまれている極上素材にこそ、飛騨の豊かな食文化が息づいていると私たちは考えます。
そんな地元の生産者さんとつながり、飛騨でしか出会えない味をお届けしたい。ここでしかない感動を追い求めてホテルスタッフが出会った新鮮素材の一つが、今回ご紹介する「きりんファームのいちご」です。

ここでしか味わえない、宇田川先生オリジナル品種のいちご。

ここでしか味わえない、宇田川先生オリジナル品種のいちご。

里山に囲まれた清流沿いに17棟のハウスが並ぶきりんファーム。高冷地の特徴である寒暖差を活かした、強い野菜と花の苗づくりを中心とした農園です。
統括責任者の農学博士、宇田川雄二さんは、元千葉県農林総合研究センター長でもあり、その後韓国に9年、キルギスに1年赴任された後、このファームで自ら毎日育苗作業をしていらっしゃいます。

「飛騨には20年前から高冷地野菜のトマトやホウレンソウの指導に来ていたんです。そんなご縁から、第三セクターだったここを、地元の介護福祉とも連携する会社が事業のひとつとして設立するということで声を掛けていただきました。
おもに野菜と花の苗を作っていますが、苗づくりの仕事が無い冬の間、いちごの栽培を始めたんです。」
温室ハウスの中には『紅ほっぺ』、『とちおとめ』、『恋みのり』、『章姫』、『おいCベリー』に加え静岡県で誕生した令和4年からの新品種、卵ほどもある大粒で瑞々しい『紅かおり』とともに、宇田川先生の隠し玉ともいえるここだけの品種を加えた7種類が栽培されています。

「この品種は韓国にいたときに、自分が唯一作ったオリジナル品種で韓国では山天王(サンチョンワン)と名付けた品種なんですが、日本では苗を売る気がないので名前を付けていないんです。栽培されているのもここだけ、食べられるのも飛騨だけの品種です。市場に出荷することを考えたら品種を絞って生産量を増やしますが、いちご狩りをやっているのでいろんな種類を植えているんですよ。」と宇田川先生。
美しい円すい形のこのいちごは、甘味と酸味のバランスが良く、ひと粒、口にするとなめらかな香りと風味が広がります。

近年は食べる宝石ともいわれるようなブランドいちごのニュースを耳にすることもありますが、それにも引けをとらないいちごが朝採れで贅沢にいただけるのもここならではの魅力。一緒に勉強しましょうと言う宇田川先生のもと、飛騨でもこれからの地域を支える若手の生産者を中心にいちご栽培が始まっているそうです。

「赤いいちごが必ず熟して美味しいものではないんですよ。いちごは見た目の色=熟すということではないんです。温度が高かったり日が当たりすぎると、色だけが早く赤くなってしまい、甘くならない。いちごは冬の間の低温管理が大切で、じっくりと日数をかけて甘くなるんです。だから美味しいいちごはどんな場所のものか、わかりますね。意外にも日の当たらない場所に実っているもののほうが甘いんですよ。」
西瓜やりんごなどと違って、熟すに従い色が濃くなるものではないのは驚きです。
「ハウスが暑い、と感じるところは美味しくないですね。水をあげすぎたり陽にあてたり可愛がりすぎるのは良くないんです。岐阜県には昔から濃姫などのいちごがありますが、飛騨にはこれまでいちごの生産農家がほとんど無かった。いちご栽培には向いていないと言われていたのです。確かに旬の1月2月は日照時間も少なく生育には厳しいですが、そのぶんゆっくりと時間をかけて甘みや栄養がぎゅっと濃縮されたいちごが出来るんですよ。」
そう言われてみると、ここのハウスは暑いこともなく、外と比べたらほんのり温かい程度。二カ月かけてゆっくり生育し、低温管理で完熟させたいちごは大きなものから小粒のものまでしっかりと甘さが乗っています。

宇田川先生によると、いちごは生態育種といって、作った土地にしか合わず、たとえば外国からの品種を栽培しても日本では育たなかかったり、味が変わったりしてしまうものだそう。
野菜や果物も生き物だから定時・定量・定質・低価格といった制約に縛られない、むしろ季節や地域、生産者の特性といった多様性に振り切った地場産農業こそ、「ワクワクする」「他にないものがある」という魅力にあふれているものなのだと感じます。

そんな宇田川先生と皆さんが育てたいちごは、品種にこだわることなく、「きりんファームのいちご」として地元スーパーや道の駅にもならび、いちご狩りでは5棟のハウスを自由に移動し様々な品種の食べ比べを楽しめます。今季で3回目を迎えるいちご狩りも心待ちにする地元の声も。
なにより、最先端の生産現場を直接見てもらうことで、農業をより身近に感じてもらう機会にもなり、農園のファンもますます増えてきています。

YouTubeでは、
きりんファームのいちごの動画を公開中!

農学博士 宇田川先生が手を掛け飛騨で育てる「きりんファームのいちご」。宇田川先生の隠し玉ともいえる、ここだけの品種を加えた7種類が栽培されています。

いちご狩り

毎年2月から開催!予約制となるので、きりんファームサイトをご確認ください。
https://kirinfarm.jp/strawberrypicking/

限定販売!

3月中旬~4月下旬にて飛騨物産館で限定販売!飛騨物産館サイトはこちら。 ※仕入状況によっては販売できない日もあります。

2022/3/17 UP 取材協力:きりんファーム

きりんファーム

きりんファーム

基本情報 株式会社 喜林
〒506-0101 岐阜県高山市清見町牧ケ洞3975−1
kirinfarm.jp

\その他飛騨高山のご当地食材情報/

ページTOPへ