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農園仕込みの有機トマトソース

山藏農園
有機 JAS 認証事業者(認証機関:有機農業推進協会 認証番号 15-003)

山藏農園

夏から秋にかけて飛騨を訪れたとき、道の駅や直売所をのぞいてみると赤く熟したトマトがずらりと並んでいる光景をご覧になった方も多いはず。
実はトマトは高温多湿を嫌い、冷涼で強い日差しを好む野菜。標高が高く高冷地でもある飛騨高山はホウレンソウとともにトマトの有数の産地でもあります。
飛騨山脈を望み、澄んだ水と、朝晩は涼しく、日中はしっかりと暑い盆地独特の寒暖差の大きな気候で、じっくりと時間をかけて大きくなるため、しっかり実がつまり、甘さとうま味、酸味のバランスがいいトマトだと言われています。

そんな飛騨高山で40年前からいち早く有機栽培に取り組んできたのが山藏農園さん。
農家としては四代目となる山藏真輔さんにお話を伺いました。

「高山ではハウス栽培が中心になっていますが、二代目にあたる祖父の頃から油紙を使ったハウスで作っていたそうです。祖父母の新婚旅行はハウス用のビニールの買い付けだったとの話も聞きました。」
当時から新しい農業に挑戦する山藏家でしたが、祖父の代では食糧増産が目的で質よりも量や安定的な生産が求められた時代でした。三代目父の時代では質も重視されてきて色々な栽培方法が生まれ、農薬を多用する農法から環境保全型の農業や有機農業などが密かに脚光を浴びるようになりました。各地で研修会も行われそれにも足繁く参加していました。

「私たち兄弟が生まれた頃から、子供たちや自分自身、消費者に安心安全なものを食べさせたい、と飛騨で初めて、手探りでの有機栽培に取り組み始めたそうです。
当時は慣行農法を有機農法に置き換える形で、土作りに力をいれ、化学的に合成された農薬や肥料を徐々に減らしていく方法を模索し、10年くらいかけて有機栽培に移行しました。
自然に寄り添いながら今では5ヘクタールの農地で安心安全な野菜作りをと、この地区の有機栽培をリードしてきました。

当時の有機栽培は明確な基準がなく誰しもが有機栽培や無農薬栽培を勝手に名乗っていましたが、そのうち岐阜県が岐阜県独自の有機栽培認証制度を設けました。真っ先に名乗りをあげると県で2番目(トマト農家としては初)の認証を受ました。平成11年に国主導の有機JAS認証制度が始まり、山藏農園でも同年取得しました。
「有機JAS認証は、隣接する慣行農地との緩衝地帯の設定から始まり、3年以上化学的に合成された農薬及び肥料を使っていない圃場で圃場に入れるものはすべて製造工程から精査し、化学的に合成されたことがない証明書を取得しもののみ使えます。年に一度数百枚に及ぶ管理書類や根拠書類をもとに現地を見ながらの監査が入ります。それだけこだわって作った野菜だから、直売でお客様にお届けすることにも取り組んできました。」

三兄弟がそれぞれに販売や栽培を担当し、主に企画を担当するのが真輔さんです。

「有機栽培なら必ず美味しくなる、というものではありません。安心安全は当たり前として、美味しいものを作りたい。さらにギャバやリコピン、クロロフィルといったトマトの色のもつ高機能性にも注目し、栄養価のポテンシャルの高い品種を種苗メーカーと協力して試作したりしています。」

現在栽培されているのは、飲食チェーンや大手スーパーや質販店、生協などの出荷先も多岐にわたり、約80種の有機トマト。
「彩りトマト」は赤、緑、黄色、茶色と文字通り色とりどりのトマトを詰め合わせた人気商品です。

そんな真輔さんがもう一つ、取り組んだのが「旨みをギュッと凝縮した濃厚な味のトマトソース」作りです。
「うちのトマトジュースで美味しいレッドアイ(トマトジュースとビールのカクテル)を作りたいなと思ったのがきっかけです。トマトジュースをビールで割ると、どうしてもトマトの風味は水っぽくなるし、ジュースとピューレの間くらいの濃度のものなら、割り材としてもアルコールも薄くならず、トマトのうま味も味わえます。
これならソースにもトマト鍋の素にもなると、糖度を基点として1度刻みで試作を重ねました。」

樹熟で収穫する王様トマトの麗夏、麗月という品種を使い、色も美味しそうな鮮やかな赤が映えるソースベース。
加熱してもトマトの赤色は鮮やかで、酸味や甘み、うま味の中にも、フレッシュなもぎたての瑞々しさを感じるものになりました。

高冷地トマトの美味しさをぎゅっと閉じ込めたこのソースベースを、日々飛騨の素材と向き合うホテルレストランの和洋中のシェフ、料理人が見た目も味わいも華やかに仕上げた一品へと仕上げます。

オーガニックで作られ、新鮮で濃厚なトマト感が新たな料理を発想させてくれる飛騨の実りの極みともいうべきこのソース、2021年11月以降、四季を通じて様々に登場するメニューをどうぞご期待ください。

2021/09/01 UP 取材協力:山藏農園

山藏農園

山藏農園

アクセス 〒506-0818
岐阜県高山市江名子町781
電話 0577-32-4701

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