たばる話

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取材レポート!

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大自然の中、廃線のレール上を走る爽快感!

レールマウンテンバイク ガッタンゴーvol2

レールマウンテンバイク ガッタンゴーvol2

ガタンゴトンと列車に揺られているような心地いいリズムとともに、風をきり木立ちやトンネルを抜ける。
ここは鉄道の廃線跡を走るレイルトレイルならぬ、廃線のレールの上を電動アシスト付き自転車で走る「レールマウンテンバイク ガッタンゴー」。今回は以前取材させていただいた ”レールマウンテンバイク「ガッタンゴー」” の第2弾です!より魅力を深堀してお届けいたします。
かつて東洋一の鉱山といわれ2001年の閉山まで、実に1800年もの間、鉱石の発掘で栄えた飛騨市神岡町。今では日本人のノーベル賞受賞者を何人も産みだした宇宙線研究の最先端「スーパーカミオカンデ」でも知られているこの町は、どことなくノスタルジックな風情を残した、山あいののどかな町です。

豪雪地帯のため、赤いトタン屋根が広がる町並みを見下ろして走るガッタンゴー。立ち上げから参加してきた事務局スタッフの田口由加子さん。

豪雪地帯のため、赤いトタン屋根が広がる町並みを見下ろして走るガッタンゴー。
立ち上げから参加してきた事務局スタッフの田口由加子さん。

そんな鉱山の貨物運送にも使われていたかつての神岡鉄道が廃線になることが決定的となった頃、神岡鉄道協力会のメンバーはこれらの施設の活用法を模索していました。
「いくらか残っていた協力会の予算を元に、何かできたらいいな、と話し合ううち、サイパンに旅行に行った方が旧日本軍の作ったレールの上を自転車で走るツアーに参加して、これを作りたい!と言い出したんです。」と当時を知るオープニングスタッフでもある事務局の田口由加子さん。
それは昔の風景を感じながら、心地よい風に包まれて、自転車に乗っているのに懐かしい列車に乗っているような体験だった、と言います。

かつて鉱山の貨物輸送をになっていた神岡鉄道

かつて鉱山の貨物輸送をになっていた神岡鉄道

早速ノーマルの自転車を改造して試走してみたところ、脚はガクガク、体力的にもレジャーと言うにはハードすぎるものでした。
「そんな時、言い出しっぺの本人が隣町の自転車屋さんに【電動マウンテンバイク】のポスターを見つけたんです。さっそく取り寄せてもらったところ、これはいい!となったんです。」
当初は1本のレールで往復と考えましたが、安全面を考え2台をつなげて四輪にしたことで、真ん中に補助席を設けることもできました。
2006年、神岡鉄道が廃線となり、その翌年、レールマウンテンバイク ガッタンゴーが旧奥飛騨温泉口駅をスタートする【まちなかコース】を初運行します。しかし当時、電動マウンテンバイクは1台10万円以上、協力費の残りでは予算も少なく、宣伝広告にかける費用がない厳しいスタートだったと言います。

電動アシスト付きだから運動が苦手という人でも安心して乗れます。

電動アシスト付きだから運動が苦手という人でも安心して乗れます。

「宣伝が出来ないから、せっかく問い合わせていただいたお客さんは絶対、断りたくなかったんです。体験してみたい、という若い世代には小さなお子さんがいることが多い。でも安全面を考えると子供の存在が逆にアクティビティの障害となってしまいます。ですが電動アシストの規制が緩和され3人分の馬力がでるようになり、観覧シートを作ったり家族4~5人が乗れる2階建てやサイドカー、車いすはもちろんペットケージまで対応できるようになりました。」と田口さん。
もともと鉄工所などものづくりを業とするメンバーが参加していることから、オリジナルを作り出す力はありました。
その楽しさはやがてTVや雑誌などに取材されるようになり、その都度、出来る限りのお客さんに楽しんでいただくために知恵を絞ってきた、といいます。

おひとりさまから5人までのグループに対応した様々な車両を開発しました。

おひとりさまから5人までのグループに対応した様々な車両を開発しました。

当初は2、3年で終わるだろうとも思われていましたが、2018年、ついに念願だった【渓谷コース】がオープンしました。
「地元に住む私たちがかつての神岡鉄道で、一番自然の美しさを見て欲しい、と思う景色は漆山から高原川の高架を渡るこのコースだったんです。しかし、実績もなく、落石や事故があった時の対応のこと、また漆山駅には電気も水道もないこと、安全面を考え、初めはまちなかコースで運行しました。でもいつかは渓谷コースを、とずっと欠かさず路線の草刈り行いながら、落石防止工事に取り掛かりました。」
放置すれはたちまち雑木林になってしまう山岳路線だけに、何年もの間、草刈りを行ってきたスタッフの熱意は、このコースを走る時、廃線から十余年もの時が過ぎたとは思えないほど美しく整備された景色からも伝わってきます。

沿線に咲くマーガレット、瑞々しい新緑の木漏れ日、澄んだ高原川の流れと一面の紅葉。 新たに運行した【渓谷コース】の醍醐味。沿線に咲くマーガレット、瑞々しい新緑の木漏れ日、澄んだ高原川の流れと一面の紅葉。 新たに運行した【渓谷コース】の醍醐味。

沿線に咲くマーガレット、瑞々しい新緑の木漏れ日、澄んだ高原川の流れと一面の紅葉。 新たに運行した【渓谷コース】の醍醐味。

ガッタン ゴットン…。小気味いい音とともに、ちょうどホームに戻ってきた若い女性2人組。
「トンネルが思ったよりも長くて真っ暗な中を走るのがスリリングでした!スタッフの方も優しくて、癒されました。」と笑顔。TVでみたことがあって、やってみたいと大阪からツアーで来たのだそう。
このトンネル内を使い、地元の工業高校の工業系列電気系の生徒さんと、ロボット部の生徒さんによるイルミネーション企画「トンネルリエ」もまちなかコースの期間限定企画で好評を博しました。

カップルや家族連れ、女性グループなどさまざまな旅行者が体験に訪れます。

カップルや家族連れ、女性グループなどさまざまな旅行者が体験に訪れます。

旧神岡鉄道は猪谷から奥飛騨温泉口全線で約20キロメートル。現在はその50%を利用して運行しています。
「いつかは全線の活用が目標です。でもそのなかに2.6キロのトンネルがあるんです。ここをいかに楽しんでいただこうか、そんなことも考えています。」

エメラルド色の高原川にかかる高架は渓谷コース最大のハイライト。

エメラルド色の高原川にかかる高架は渓谷コース最大のハイライト。

かつての日本の工業を支えた鉱山の町に息づく「ものづくり」の心意気が作り出したアクティビティ。自然とそこかしこに昔の風情が残る街中を、心地いいレール音のリズムとともに駆け抜ける爽快感。
一度は廃線で必要とされなくなった線路に、再び人や思いが集まる場所を作っていきたいという地元スタッフたちの熱意や夢を乗せて、今日も皆さんと一緒にガッタン、ゴットン走ります。

2021/2/16 更新 取材協力:ガッタンゴー

レールマウンテンバイク ガッタンゴーvol2

レールマウンテンバイク ガッタンゴーvol2

開催日 2024年度営業 
【まちなかコース】2024年3月20日 〜 2024年11月24日(冬季運休)
【渓谷コース】2024年3月30日 〜 2024年12月1日(冬季運休)
レールマウンテンバイクガッタンゴー https://rail-mtb.com/
〒506-1147 岐阜県飛騨市神岡町東雲1327-2
0578-82-4008 090-7020-5852

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