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色とりどり、しあわせのお菓子
巻葉屋 分隣堂
抜群に可愛らしい見た目。口に入れるとほろほろと上品な甘さが広がって、しあわせなため息が出そう…
この魅力的なお菓子を作るのは、飛騨高山の和菓子店「巻葉屋 分隣堂(まきばや ぶんりんどう」さん。創業 90
年を越えてなお、静かに守り続けるお菓子作りへの想いを取材しました。
「大正 15 年、粉物などを扱う商店だった本家から粉一俵・砂糖一俵を持って分家し、隣に菓子店を開いたのがこ
の店のはじまり」と語るのは、三代目にあたる川上敏彦さん・富子さん夫妻。創業者の孫である富子さんと結婚
し婿入りした敏彦さんは、30 歳でサラリーマンを辞めこの世界に飛び込みました。
「分隣堂」という素敵な屋号は、分家して隣に店を出したことから。意外にも単純明快な由来に驚きました。
「粉と砂糖があればお菓子は作れる」と多くを持たず創業した当時の理念は、今も商品の中に生きています。 例えば、砂糖の干菓子。固まりづらい砂糖を加工するときは、米粉など繋ぎの材料を入れるのが一般的ですが、 分隣堂ではなんと、繋ぎなしで作られています。原料の高級砂糖「和三盆」がそのままで抜群に美味しいから、 なんとか砂糖だけで固まらないだろうか?と試行錯誤し、「繋ぎを使わない分作りにくいけど、やることにした」 と敏彦さん。極上の香りと口どけは、あえて面倒な作り方を選んだことで叶いました。
干菓子の成形には、昔ながらの木型を使われています。木型を作る職人も年々少なくなり、今では全国で10人にも満たないそうです。
図案は縁起物や祭屋台などの飛騨らしいものが主ですが、時には遊び心のある木型をオーダーすることも。伝統
を守りながらも新しいものを取り入れ、「ペンギン」「ハート」などの可愛らしい図案もお茶席やお土産で喜ばれ
ています。
現在、長男の浩佑さんが敏彦さんの元で修行に励んでいます。製菓の学校で学んで飛騨に帰ってきた浩佑さんは、
最新の製法や便利な材料の知識も得た上でなお、昔ながらの手作りとシンプルな原料を大切にしています。
お話を聞きながら、店・地域・伝統を守っていくという同じ想いをご家族で共有されていることが強く伝わって
きました。
こだわりが詰まった干菓子はもちろん、季節ごとに変わる期間限定の生菓子も毎年心待ちにしているファンがい
るほど根強い人気があります。
材料のシンプルさからか、コーヒーや紅茶とも相性の良い分隣堂のお菓子。大切な人へのお土産にはもちろん、
ちょっと特別な自分時間も、さらにしあわせなひとときにしてくれます。
2018/03/20UP 取材協力:巻葉屋 分隣堂
巻葉屋 分隣堂
アクセス | 住所:岐阜県高山市下二之町 70 TEL : 0577-32-1844 |
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営業案内 | 8:00~19:00(不定休)) ■不定休 |
デザイナー・イラストレーター 大森 貴絵(おおもり たかえ)
高山市生まれのデザイナー・イラストレーター。 著書にほっこりしたイラストで飛騨地方の方言を紹介した「ひだのしゃべりことば」。