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日本中を走る人力車の90%以上がメイドイン飛騨高山。
飛騨高山観光人力車 直井屋
赤い中橋をゆっくりと笑顔で人力車を引く「俥夫(しゃふ)」の姿。そんな光景が絵になる飛騨高山。
今や京都や浅草など日本の有名観光地でもみられる光景ですが、この人力車のおよそ90%以上がここ飛騨高山で作られているということをご存じの方は少ないはず。
「明治時代に日本橋で生まれた人力車ですが、馬より安く歩くより早いと使われていたものの、馬車や鉄道に代わられ姿を消していました。
昭和の終わり頃、高山に住む骨董好きなやまちゃんという方が持っていた人力車を見て、三清物産の先代が趣味で作り始めたのが始まりと聞いています。
今や三塚さんと言う方がおひとりで作られているんですよ。」と高山で観光人力車を引く直井屋の代表で俥夫でもある宿名辰弥さん。
黒い塗りに幌を掛け、赤の別珍のシートがハイカラな人力車。この日の車両は「凰稀」と直井屋さんでは1台ごとに名前がつけられています。
黒の腹掛けに股引きというコスチュームに身を包んだ宿名さんの、明るくさわやかで優しい語り口はとても親しみやすく、人力車を引く以前は住宅のトップセールスマンだったと聞いて納得です。
「出身は岐阜県の恵那という朝ドラ『半分青い』の舞台となった城下町なのですが、京都の大学に進み、嵐山で初めて人力車に出会いました。
以来、ずっと胸に想いはあったのですが、3年前妻の実家のあるここ高山で人力車を引きたいと妻を説得したんです。」
古い町並のほど近くに祖母の家があり、そこで育った奥様の幼少時代の思い出話や、義父から紹介された代々続く旦那衆と呼ばれる商家の方々から聞く話の数々が新鮮な魅力に映り、現在のガイドのベースとなったそうです。
それから図書館に通い郷土史を読み、またさまざまな人に話を聞き、飛騨高山について学びました。
「高山と言う土地は周囲を山に囲まれ、昔は交通の便の悪い土地でしたから、いわばひとつの国として独立していたんですね。武士よりも町人が多く、なんでも困ったら自分たちでやってみよう、解決しようというとても自己完結性の高い土地柄なんですね。
祭り屋台も町内で持ち保存しているものですし、古い町並が残っていたのも、町の人たちが近代化を取るか、伝統を保存するか、自分たちで決めて残してきた。
遠隔地でお金が外に出ていかないですから、商売で得たお金を文化の奨励に使ってきたという、町人文化が作り上げた町というのが魅力です。」
今は古い町並に車庫を持ち、3台の人力車と仲間たちとともに現代の飛騨高山の景色を作る一人となった宿名さん。人力車を引いて町をゆくと軒先から手を振る地元の人たちの光景を目にしました。
「町の中を走るので声を掛けてもらったり、自分からも話を聞かせていただいたり、地元の方々にもこの仕事に対しての想いを伝えてきました。
他所から来たからこそ、わかる飛騨本来の良さ、新鮮に映る光景があります。だからこそ伝えたいことが沢山あると思います。」
歴史やスポットなどの知識はもちろんのこと、お客様が主役で、その方だけのストーリーを描けるような案内が宿名さんのテーマです。
ガイドブックやスマホを見てばかりいてはもったいない。知らなければ見落としてしまうような場所も、楽しい案内と会話で新しい発見がそこにはあります。
人力車は外の空気を感じられるオープンな造りであり、幌があるので夏は思ったよりも涼しく、冬も毛布の用意で温かく快適。 高い位置からの展望は、徒歩や普通の車では無い景色との一体感で、
軽快なスピードと心地よい揺れとともに、いつもとちょっと違う視点から景色を楽しめてしまいます。
フォトスポットでは俥夫さんが撮影をしてくれるため、人力車に乗ったままどびきりの記念撮影も楽しみのひとつ。
「今後は夜の街並を巡るツアーや、高山グリーンホテルの玄関でお出迎えして市内を巡るコースなども考えています。
高山に来たら人力車に乗ってみないと、と思われるくらい、皆さんに親しんでいただけるように頑張ります。」
雨や冬も積雪がなければ利用できるそうで、コースや時間など相談にも乗っていただけます。
2020/10/29 UP 2024/9/27 更新 取材協力:飛騨高山観光人力車 直井屋
Youtubeでは、
飛騨高山観光人力車 直井屋のインタビュー動画を公開中!
赤い中橋をゆっくりと笑顔で人力車を引く「俥夫(しゃふ)」の姿。そんな光景が絵になる飛騨高山。有名観光地でもみられる光景ですが、この人力車のおよそ90%以上がここ飛騨高山で作られているということをご存じの方は少ないはず。
飛騨高山観光人力車 直井屋
アクセス | 住所:岐阜県高山市片原町55(乗車場) |
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公式サイト | https://naoiya.com/ |
営業案内 | 9:30~16:00 |
連絡先 | 090-6462-3432 |