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飛騨の自然と人が醸す美味しいお味噌
こうじや 柴田春次商店
旅先で味わいたいと思う、その土地ならではの味。炊き立てご飯のお供は全国各地、いろいろありますが、飛騨ではなんといっても外せないのが「朴葉味噌」。
宿の朝食で召し上がる方も多いメニューですが、もともとは冬の間厳しい寒さで凍みた漬物や煮物を、味噌とともに朴葉の上にのせ、焼いて食べるという素朴な家庭料理の一品でした。
食文化が豊かになった今でも、「焼き味噌」として地元の家庭のテーブルにはおなじみのメニューです。
そんな飛騨の家庭で欠かせない地味噌を求めて、創業大正13年、高山市内で90年以上続く「こうじや 柴田春次商店」さんにお邪魔しました。
市内に3店舗あるなかでも、ここ二之町店は、明治時代の商家をそのまま店舗にした、豪放な梁に繊細な格子戸が続く飛騨高山らしい店構え。
お店に入るとふわっと香ばしい朴の葉とお味噌の香りが、懐かしさを感じさせてくれます。
「昔はお味噌は家庭で仕込まれるものだったので、創業当時は味噌作りにも欠かせない『糀-こうじ』を売っていました。その後、味噌の販売も始め今は直営店のほか、地元のスーパーやお土産物屋さんにも卸もしています。」と四代目の奥様柴田朋子さん。お店へは最近では外国人のお客様も増えているのだとか。
さっそくクツクツと朴葉の上で焼かれたお味噌を試食。ふわっと広がるうま味とほんのりした甘味、炊き立てのご飯が欲しくなります。
「お味噌、というとしょっぱい、辛いというイメージがあるでしょうが、この甘さは糀の自然な甘味なんですよ。」と柴田さん。
味噌を調味料ではなくそのままおかずとして食すには、やはり添加物なしの素材の美味さが決め手となります。
朴葉味噌は年中販売がありますが、地元の常連さんが心待ちにするのが11月中旬~3月いっぱい頃まで、冬季限定で販売される「醤油みそ」。
火入れをせず発酵を止めていない、いわば「生きた味噌」で、冷凍された状態で直営店のみで販売されています。
「醤油みそは塩分を抑えたまろやかな風味になっています。糀が活きているので自然の風味を楽しめる、この時期だけのお楽しみです。」と柴田さん。
醤油みそという名前から想像したものと違い、強い辛味を感じない優しい風味と甘さは、そのままお野菜のディップやパンに塗っても楽しめそう。
「焼いたよもぎ餅に塗って食べるのも、地元の方の好物なんです。最近は遠方から保冷ボックスを持って買いにみえる方もいらっしゃいます。」
朴葉を使わなくても、地元の家庭ではホットプレートにアルミホイルを敷き、このお味噌と刻んだネギ、しいたけなどのきのこ類や好みで切り漬けなどを入れて、焼きながら食べます。お好みで卵を落とすと味噌の味がまろやかになります。
醤油みそは、そのまま焼くだけで白いご飯が何杯でもいただけてしまう美味しさがうれしいところ。
「いなか味噌は、香りがよく辛みが強いように思われますが、香りがよい大豆の旨味のいきたお味噌です。煮干し出汁とよく合い、豚汁や野菜のお味噌汁にぴったりです。ニンニクとあわせて郷土料理『鶏ちゃん焼き』の味付けにもおすすめですよ。」
限定の「つやほまれ」は、塩のカドがとれたようなまろやかさと繊細な香りがホッとするお味です。
飛騨は交通の便が悪く、古くから保存食や味噌や醤油、酒、納豆などの発酵食品の製造が盛んだった地域です。
日本人にとっては馴染み深い「うま味」も、味噌や日本酒、醤油、味醂、酢など、ほとんどがこうじ菌を使って醸された調味料によるもの。飛騨の地で手をかけ、人と歴史と自然とともにゆっくりと「醸す」ことによって、うま味を増やし、味わい深くなった味噌を食べ比べてみると、豊かな故郷の食分化の原点を感じるような気がします。
飛騨の味の魅力を再発見する機会にもなりそうですね。
2018/12/18UP 取材協力:糀屋柴田春次商店 二之町店
本店
アクセス | 〒506-0841 岐阜県高山市下三之町113番地 TEL: 0577-32-0655 |
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営業案内 | 月~土:8時~17時 日曜日:8時~15時 ※祝日、年末年始不定休 |
二之町店
アクセス | 〒506-0842 岐阜県高山市下二之町19 TEL: 0577-36-2669 |
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営業案内 | 月~土:8時~17時 日曜日:8時~15時 ※水曜定休 ※祝日、年末年始不定休 |
朝市店
アクセス | 〒506-0841 岐阜県高山市下三之町43-9 TEL: 0577-34-6039 |
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営業案内 | 月~日:6時~12時 ※冬季営業時間:8時~12時 ※祝日、年末年始不定休 |