たばる話

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願いを掛けたさるぼぼに感謝を込めて

さるぼぼ供養

さるぼぼ供養

長く厳しい冬が終わり、春の訪れを待ちわびていたかのように、桃、梅、桜が一斉に花々が咲きだす飛騨の春。そんな春の一日、高山駅のほど近く、国の重要文化財に指定される本堂と大きな銀杏の木、三重塔が目を引く飛騨国分寺に、大小さまざまな『さるぼぼ』が集められました。
中には色あせたものや、子供たちが願いを書き込んださるぼぼのお神輿など、その風合いもさまざま。この日、地元はもとより、全国各地から届けられた役目を終えたさるぼぼの供養が行われました。

飛騨高山の郷土玩具として愛される「さるぼぼ」。真っ赤な木綿のボディに黒い頭巾と腹当て、ちゃんちゃんこを着た姿が愛らしく、この地方の方言で「さるの赤ちゃん」を意味します。
近年では江戸時代に流行した病魔除けの妖怪「アマビエ」が話題となりましたが、郷土玩具には、こうした病や災いを除け、人々の願いや思いが込められたものが多く残されており、さるぼぼもそのひとつ。
古くは1200年前の奈良時代に中国から伝わった「這子(ほうこ)」が原型と言われ、安産のお守りとして産屋に飾られていたものが、幼児のお守りとなり、嫁入りの際にも持たせたり、娘のお守りとして安産や幸せな結婚を願い、さらには子どもに遊び道具として与えて健康を願ったと考えられています。

(画像) さるぼぼ製造協同組合 代表理事の森林三樹夫さんと事務局長の森林良太さん

(画像) さるぼぼ製造協同組合 代表理事の森林三樹夫さんと事務局長の森林良太さん

「そんなさるぼぼは今も地元で親しまれ、産科クリニックに大きなさるぼぼが飾られていたり、高山市の小学校や市役所でも、さるぼぼ作り体験や勉強会などが開かれています。」
と語ってくれたのは、飛騨のさるぼぼ製造協同組合 事務局長の森林良太さん。
「以前は家庭で手作りされていた『さるぼぼ』ですが、昭和40年岐阜県で初めての国体が開催されたとき、婦人会が制作したさるぼぼが全選手にプレゼントされたんです。それ以来、お土産品として店頭に並ぶようになりました。
平成18年には組合を結成し、地域団体商標を取得してからは、高山の財産として残していこうという取り組みを始めました。」

以来、すべての工程を飛騨で行い、内職さんの手作りで心を込めて制作されているのが『飛騨のさるぼぼ』なのです。

さるぼぼの「猿(さる)」にかけて、子宝祈願だけでなく災いや病が去る、縁がつながる、家庭円満…。
時代とともに赤い色だけでなく、風水カラーや金銀などのカラーも生まれ、お土産品としてだけでなく、パワーをくれるお守りとして、様々な願いを込めて手に取る方が増えてきました。

そんな森林さん達組合員の元に届いていたのは、それぞれの役目を終え、古くなったさるぼぼの供養や祈祷をお願いしたい、というお客様からの声でした。
「おかげさまで子供が無事生まれた、結婚できた、合格しました、などのお手紙とともに送られてくることもあります。今年はコロナ禍でしたが1300体ほどのさるぼぼを供養させていただきました。」と森林さん。

供養を行う飛騨国分寺には樹齢1250年の大イチョウがあり、別名「乳(ちち)イチョウ」と呼ばれ、古くから子宝祈願や子安信仰の木として親しまれています。国の天然記念物でもあるこのイチョウは母乳の出が良くなる、さらには、家族が子授けや子孫繁栄をを願い「子宝祈願」「安産祈願」をしたり子の健康を祈る「子安信仰」といった心の拠り所になっていました。
庚申堂に「願掛けなでさるぼぼ」もあるこの飛騨国分寺に満願成就の棚をもうけ、地元の人はもとより、飛騨高山旅行のついでにいつでもさるぼぼを奉納していただける場となっています。また組合に郵送、宅配で届いたさるぼぼも合わせて年一回 四月の申の日にさるぼぼ供養を行っています。

人々に愛され、パワーや勇気をくれるお守り代わりとして、託された思いも大切にしたい。そんな作り手の想いと感謝と愛情に満ちた供養はこれからも続いていきます。

さるぼぼ供養のご依頼方法

1:お近くの方、ご旅行のついでに
飛騨国分寺庚申堂にある「満願成就の棚」におかけください。

2:送り先(受付先)
〒506-0003 岐阜県高山市本母町450-2(有)愛和工芸内
飛騨のさるぼぼ製造協同組合『さるぼぼ供養』 宛
TEL:0577-57-5536
※着払いでのさるぼぼ供養の受け付けは行っておりません。送料はお客さまご負担にてお願いします。

くわしくは  さるぼぼ製造協同組合ページ
https://sarubobokumiai.wixsite.com/sarubobo

2022/5/12 UP 取材協力:さるぼぼ製造協同組合 代表理事の森林三樹夫さん
事務局長の森林良太さん

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