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素朴のなかに深い美が潜む
本舗 飛騨さしこ
高山の雑貨土産として人気の「飛騨さしこ」。ポーチやのれんからコースターまで、美しい刺繍グッズは女性に人気の定番土産。でもこの飛騨さしこ、ただ見た目のために刺繍してるんじゃないんです。物のない時代、山間にあった飛騨の民は布を大事に使うための創意工夫を凝らしました。その賜物が飛騨さしこです。今回はそんな飛騨さしこの伝統を受け継ぐ職人がいる本舗 飛騨さしこさんにお邪魔しました。
かつて不便な土地だった飛騨では物持ちを良くするために様々な創意工夫がありました。そのひとつが飛騨さしこです。布に模様をつける技術が乏しかったため、デザイン性と布の補強という両面から、布に糸で幾何学的な模様などの図柄を一針、一針縫い込んでデザインし、日々使ってきました。少ない物資を工夫する、「本舗 飛騨さしこ」は、今でもその伝統の技を伝承しています。
古い町並みから通りを一つ外れたところ、宮川沿いのその静かな通りに「本舗 飛騨さしこ」のお店はあります。店先に並ぶのれんや傘など、飛騨地方のさしこの特徴である美しい幾何学模様が刺繍された製品たち。手にとってみたくなるような素敵なアイテムにふらっとお店に入ってみると、そこにはポーチからのれんまで様々なグッズが並ぶ飛騨さしこのギャラリー。
美しい柄は長時間眺めていても飽きないくらい素晴らしく、ちょっと立ち寄って見学してみるだけでも損はありません。また、飛騨のさしこは表面だけでなく裏面も美しいのが特長です。糸を玉止めしない独特な技法の飛騨さしこは、裏の模様も美しく、リバーシブルで使う人も多いです。お店の奥に行くとまさに伝統技法で縫いつけをしている職人さんがいらっしゃいました。
見事な手さばきで下書きに従い正確に幾何学模様を縫い付けていく職人さん。これだけの布面積を全て手縫いで、一針一針縫い付けていきます。昔貧しく、物がなかった時代、贅沢は出来ませんがおしゃれは楽しみたかった。そんな飛騨の民はこうして一針一針想いを込めながら、自分のために、大切な人のために少ない布を補強するため針を刺したのでしょう。布に糸を縫い込んで施すデザインは耐久性が高くなり、何十年も使えるといわれています。
そんな飛騨さしこを手に取ってじっくり見ると、まるで芸術作品のように美しく、作り手の丁寧さが思い浮かぶようです。ところがそれらの製品はハンカチ、ふきん、テーブルクロスなど、ほとんどが毎日の生活に使うものであり、飾って楽しむものではないのです。生活のなかで使ってこそ活きてくる!そんな品物ばかりなのです。
長く使えて丈夫な飛騨さしこ。高山土産に一ついかがでしょう。気に入った製品を手に取られたならば、ぜひ身近において日常でお使いください。使えば使うほど、自分の生活に馴染み出し、そしてなくてはならない生活用品になってくるはずです。
2015/6/10 UP 取材協力:本舗 飛騨さしこ/文献協力:(有)地域自然科学研究所
本舗 飛騨さしこ
電話番号 | 0577-34-5345 |
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住所 | 岐阜県高山市片原町60 |
営業時間 | 8:30~17:00 |
休日 | 冬季のみ(H26/11/19~H27/3/18の毎週水曜) |
公式サイト | http://www.hidanet.ne.jp/~sashiko/ |