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甦った昔ながらの木樽仕込みの赤かぶ漬け
飛騨高山よしま農園
鮮やかな赤色、噛むとじんわりした酸味と旨味が広がる赤かぶら漬けは飛騨高山の名産品のひとつです。最近は酢漬けのものも多く出ていますが、なんといっても地元で愛されているのは昔ながらの乳酸発酵させた赤かぶら漬け。近年、生きた乳酸菌が腸や身体にいいと言われる植物性乳酸菌が注目されていますが、飛騨ではかつて、農家や家庭でも代々受け継がれた植物性乳酸菌で発酵された赤かぶら漬が納屋で熟成されていました。
江戸時代から始まったと言われる飛騨高山の朝市。宮川沿い朝市で30年以上前から自家製の漬物や野菜を販売している農家の与嶋さんの赤かぶは、唯一なんと昔ながらの木の樽で仕込まれているのです。
伺ったのは年間30種類の無農薬野菜の栽培から、漬物や加工品の製造、農園ショップや朝市でも販売を手掛けるよしま農園の代表、与嶋靖智さん。
「朝市で販売を始めたのは祖母の代からで、その30~40年前から、家庭で漬物が作られなくなり、うちでも徐々にプラスチック製の樽に仕込みが変わり、化学調味料を入れて作られていたんです。しかし食という字は「人」に「良」と書くもの、何とか身体に良いものにできないかと家族で話し合いを続け、無添加に立ち返ってみようとなったのです。」
市販のメーカーの漬物には、実は旨味や風味、酸味を補う調味料としての添加物が加えられているものが多いのです。
「でもただ、無添加にして漬けこんでも、美味しくなかったんですね。何故だろう、どこが違うんだ、と飛騨のおばあちゃん達に話を聞いてみたら、皆口々に木の樽で仕込んだ漬物は美味しかった、と言うんです。」
しかし、すでに木の漬物樽を作る職人もいませんでした。
そこで与嶋さんは、おばあちゃん達に木の樽を探している、と口コミしてもらいました。すると「使ってくれるなら」と飛騨中から、使われていなかった80個ほどの木の樽が集まったのです。
「樽の中には天保何年、明治何年と書かれたものもあります。その貴重ないわば木の樽に染みた飛騨中の乳酸菌が集まったんです。」ほど良い酸味を醸し出し、調味料添加物では出せない香味、熟成味を出すのが「乳酸菌」です。
その木の樽で地道に作り続けている赤かぶら漬けは「よしまさんの赤かぶ漬は昔と同じ味がする」と言われるようになりました。
与嶋さんは、無添加、無農薬をキーワードに自家製の加工品や採れたて野菜、農園セレクトの調味料や食材を集めた農園ショップをオープン。
味噌作り講座を開いたり、子供たちへの食育の講師を勤めるなど、食を見つめ直すきっかけ作りにも取り組んでいます。
「漁師さんが魚の鮮度や旬がわかるように、農家だからわかる野菜の【食べごろ】ってあるんです。本当にいいタイミングで香りや鮮度感が最高潮の瞬間を見逃さず、閉じ込めたままお届けしたい、と作り始めたのがバジルペーストや青しそペーストなどの加工品です。」
もとは与嶋さんちの食卓から生まれたものも多いのだそう。
「一日の中で、一番その作物が生命力に満ちた瞬間に収穫し、その日のうちに瓶詰めまで、手を加えすぎず船の上の【活〆】のような感覚で作っています。」
ほんの少量でも香りが爽やかに鮮烈で、いろんな使い方でアレンジできるペースト。量産品にはない鮮度が感じられます。
「ネットショップでの野菜の宅配などもしていますが、何より飛騨には豊かな自然と美味しい水、ここに来てこそ体感できる、鮮度のある味があります。採れたて野菜の美味しさもぜひ飛騨にきたら味わっていただきたいですね」
肥料、農薬、堆肥を使わない自然栽培の与嶋さんの農園は、管理しきれない自然ゆえの苦労も多いそう。しかし化学ではなく飛騨の自然や乳酸菌と、昔ながらの手法に立ち返ることで伝わる美味しさは、ここにしかないもの。 朝夕の寒暖差の激しい飛騨は、高冷地野菜が美味しい産地でもあります。
飛騨へお越しの際は、自然を生命力を、ぜひ新鮮野菜や果物で味わってみてください。
2019/08/06 取材協力:飛騨高山よしま農園
飛騨高山よしま農園
アクセス | 〒506-0044 岐阜県高山市上切町378 TEL.0577-33-6216 FAX.0577-32-3346 https://www.yoshima.net/ |
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