たばる話

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里山に広がるブルーベリー農園

朝摘みブルーベリー「治助ファーム」

朝摘みブルーベリー「治助ファーム」

ガラガラ、ガッコン のどかな水車の音がひびく里山、清見大原地区。高山市街地から車でおよそ50分、せせらぎ街道沿いに美しく清涼な風景が続くこの辺り。 かつて精米に使われていたというドンボ(唐臼)小屋は、湧水を水船に溜め、その重みでドンボが反転すると、杵が唐臼の中の籾を打つというもの。この地区には10基ほどが残っていたといいますが、今やこの一基のみ。
そんな小屋を横目に、治助ファームのブルーベリー農園が広がります。

昭和30年より平成25年頃まではお豆腐屋さんを営んでいた中澤さん。ご主人の治雄さんの実家でもあり、二代目として跡を継がれることになりました。
それまで転勤族だった治雄さんは、休日のたびに故郷である大原に脚を運び、山里の耕作放棄地をのんびり手作業で耕し、ブルーベリーの木を植えていったそうです。
「この近くにあるせせらぎ街道のラベンダー畑がキレイだなぁ、と言ってました。この辺りは田んぼが減って牧草地やホウレンソウを作るところが多くなっていて、ここをブルーベリー畑にしたいと植え始めたんです。」と奥さんの康子さん。
今では35ヘクタールの土地におよそ500本のブルーベリーが愛らしい実をつけています。
朝晩の寒暖の差が大きく、山霧や朝露が多いため、治助ファームのブルーベリーは甘ずっぱく大粒で味が 濃いと人気です。

栽培しているのはブルーベリーらしい濃厚な香りが楽しめるハイブッシュ系を中心に
12種ほどの木が植えられています。

ブルーベリー収穫の朝は早く、朝6時には畑に入り9時には収穫を終えます。
「お父さんと始めたころは、昼過ぎても収穫していたんです。でも何故か実が傷みやすいんですよね。日が昇って暑くなってから収穫したものは、ダメになってしまうのも早いんだと分かりました。」と康子さん。
初めは一人で夏の間、この地に滞在し、収穫して道の駅で売っていたものが、移住して本格的に始めた今では、最盛期には近隣の方の手を頼んで、日に20キロから30キロほど収穫することもあるそう。
残念ながら治雄さんは他界されましたが、まるでこのブルーベリーは、治雄さんの遺してくれた宝石箱のような大切なもの。
治助ファームの看板も仕事のない冬の間、康子さんが字を書き、治雄さんが手彫りで仕上げた思い出深いものです。

毎年ゴールデンウィークを過ぎた頃に白いすずらんのような愛らしい花が咲き、7月になると段々と実が大きく白から赤、赤から紫色、そして熟すにつれて実が大きくなり色も黒紫へと、緑の葉影から覗くグラデーション。
繊細な収穫は、目で完熟を見極め、すべて手摘みで行われています。
「農薬も使っていないですから、収穫しながら、熟れすぎたものはポイっと口にそのまま入れてしまったり。」と笑います。

「指でつまんでみると、完熟しているものはプルっとして瑞々しいでしょう? するとつまんだだけで摘み取ることができるんです。
これが少しでも無理にとろうと引っ張ったりすると、皮に傷がついてしまうんですよ。」
夢中になって摘むうちに、手籠がいっぱいになっていきます。

太陽の陽射しをいっぱい浴びて完熟した治助ファームのブルーベリー。

自然豊かな環境のなか、鳥などの対策もさぞかし大変なのでは? とたずねてみると、
「鳥たちも美味しいものは知っていて、完熟になったブルーベリーしか食べないんです。だから鳥たちより早く、畑に入って早朝に収穫してしまえば大丈夫。」と康子さんは笑います。

宅野パティシエと中澤さん 貴重なお話を聞くことができました。

完熟で摘むことから鮮度を保つことが難しく、どうしてもジャムなどの加工品や冷凍食品などとして販売されることが多いブルーベリー。
収穫のお手伝いをしながら、私たちは朝採れの美味しさをいただけることの贅沢さ、ありがたさを感じ、果樹園の景色や聞いた物語が、パティシエのインスピレーションを刺激し次なるメニューのアイデアを練ります。
農家さんから受け取った美味しさのバトンを、たくさんのお客様にお届けできることを願いながら。

宅野パティシィエ 収穫を体験

パティスリー「ベルアンジュ」のケーキはもちろん、ラウンジ「木乃香」は
宅野パティシィエ監修の治助ブルーベリーパフェが人気。
ごろっと乗った朝摘みブルーベリーにたっぷりのオリジナルソースとマスカルポーネアイスを合わせた季節限定の華やかな一品です。

宅野パティシィエ監修の治助ブルーベリーパフェやケーキが人気。

2021/09/15 UP 取材協力:治助ファーム

治助ファーム

治助ファーム

アクセス 〒509-2702
岐阜県高山市清見町大原464
電話 0576-69-2110
営業時間 10:00~15:00
(開園時期:7月中旬~8月中旬)

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